- 2026年9月13日
今の仕事を続けながら、何か専門性を身につけた方がよいのだろうか。でも、夜勤や家庭のことを考えると進学は簡単ではない。周囲が資格を取り始めると、焦ることもあるかもしれません。
専門性は、資格を取ることだけで育つものではありません。 患者さんへの説明、家族との調整、後輩への支援など、日々の看護にも深められる力があります。この記事では投資の話から離れて、専門看護師・認定看護師の違いと、自分に合う学び方を整理します。資格情報の確認日は2026年9月10日、登録者数の資料確認日は2026年9月11日です。
専門看護師と認定看護師は、別の資格
「専門認定看護師」という一つの制度ではありません。日本看護協会の専門看護師と認定看護師を分けて考えます。
| 比較 | 専門看護師(CNS) | 認定看護師(CN) |
|---|---|---|
| 役割の枠組み | 実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究 | 実践・指導・相談 |
| 教育の入口 | 大学院修士課程など所定の教育要件 | 認定看護師教育機関の所定課程 |
| 実務経験の基本 | 通算5年以上、うち専門分野3年以上 | 通算5年以上、うち認定分野3年以上 |
| 分野 | 14分野 | B課程19分野、A課程21分野 |
いずれも教育・実務などの条件を満たしたうえで認定審査・登録が必要で、資格取得後も更新があります。申請ルートや分野別要件は年度の手引きで確認してください。[1][2] 単純な上下関係ではなく、自分が担いたい役割と学ぶ内容の違いとして見ていきましょう。
資格を持つ看護師は何人いる?登録者数で見る全体像
日本看護協会が公表する2025年12月時点の登録者数は、専門看護師が3,644人、認定看護師はA課程19,270人、B課程6,539人です。[4][5][6] 認定看護師のA・B課程の登録者数を合計すると25,809人で、課程別の構成比はA課程74.7%、B課程25.3%です(公表値から当サイト計算)。
ここで示す人数は、その時点の登録者数です。過去に資格を取得した人の累計や、その年だけの新規取得者数ではありません。以下の分野別割合も、看護師全体に占める資格取得率や試験の合格率とは異なります。
専門看護師ではがん看護が1,172人で全体の32.2%、認定看護師B課程では感染管理が1,269人でB課程全体の19.4%です。人数には制度の歴史や教育機会、課程移行なども関わるため、多い分野が自分に最適、少ない分野が取得困難とは、この数字だけでは判断できません。
まずは気になる分野にどのくらいの登録者がいるかを知り、勤務先や近隣地域で相談できる先輩・教育機関を探す手がかりにしてみてください。
専門看護師の14分野
日本看護協会の14分野に、登録者数と専門看護師全体に占める割合を添えて掲載します。[1]
| 専門看護分野 | 登録者数 | 構成比 |
|---|---|---|
| がん看護 | 1,172人 | 32.2% |
| 精神看護 | 466人 | 12.8% |
| 地域看護 | 31人 | 0.9% |
| 老人看護 | 314人 | 8.6% |
| 小児看護 | 337人 | 9.2% |
| 母性看護 | 106人 | 2.9% |
| 慢性疾患看護 | 299人 | 8.2% |
| 急性・重症患者看護 | 445人 | 12.2% |
| 感染症看護 | 129人 | 3.5% |
| 家族支援 | 102人 | 2.8% |
| 在宅看護 | 153人 | 4.2% |
| 遺伝看護 | 27人 | 0.7% |
| 災害看護 | 49人 | 1.3% |
| 放射線看護 | 14人 | 0.4% |
| 合計 | 3,644人 | 100.0% |
2025年12月現在。構成比は各分野の登録者数÷この表の合計3,644人×100で算出し、小数第1位に四捨五入しています。端数処理により内訳の合計が100.0%にならない場合があります。[4] 日本看護協会の登録者数資料
関心がある名前を一つ選んだら、教育機関の科目や実習先、修了後の活動例まで確認します。名称が近くても、認定看護師の分野と教育内容が同じという意味ではありません。
認定看護師B課程の19分野
B課程は特定行為研修を組み込んだ教育課程です。以下はB課程の認定看護分野一覧です。[2]
| 認定看護分野(B課程) | 登録者数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 感染管理 | 1,269人 | 19.4% |
| がん放射線療法看護 | 70人 | 1.1% |
| がん薬物療法看護 | 354人 | 5.4% |
| 緩和ケア | 381人 | 5.8% |
| クリティカルケア | 1,034人 | 15.8% |
| 呼吸器疾患看護 | 159人 | 2.4% |
| 在宅ケア | 139人 | 2.1% |
| 手術看護 | 240人 | 3.7% |
| 小児プライマリケア | 50人 | 0.8% |
| 新生児集中ケア | 32人 | 0.5% |
| 心不全看護 | 128人 | 2.0% |
| 腎不全看護 | 91人 | 1.4% |
| 生殖看護 | 18人 | 0.3% |
| 摂食嚥下障害看護 | 355人 | 5.4% |
| 糖尿病看護 | 353人 | 5.4% |
| 乳がん看護 | 68人 | 1.0% |
| 認知症看護 | 569人 | 8.7% |
| 脳卒中看護 | 105人 | 1.6% |
| 皮膚・排泄ケア | 1,124人 | 17.2% |
| 合計 | 6,539人 | 100.0% |
2025年12月現在。構成比は各分野の登録者数÷この表の合計6,539人×100で算出し、小数第1位に四捨五入しています。端数処理により内訳の合計が100.0%にならない場合があります。[5] 日本看護協会の登録者数資料
A課程の名称も、職場や資格紹介で見かける
A課程は特定行為研修を組み込んでいない課程で、21分野があります。名称の違いで混乱しないよう、こちらも分けて掲載します。[2]
| 認定看護分野(A課程) | 登録者数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 救急看護 | 1,064人 | 5.5% |
| 皮膚・排泄ケア | 1,763人 | 9.1% |
| 集中ケア | 872人 | 4.5% |
| 緩和ケア | 2,332人 | 12.1% |
| がん化学療法看護 | 1,476人 | 7.7% |
| がん性疼痛看護 | 677人 | 3.5% |
| 訪問看護 | 657人 | 3.4% |
| 感染管理 | 3,086人 | 16.0% |
| 糖尿病看護 | 648人 | 3.4% |
| 不妊症看護 | 157人 | 0.8% |
| 新生児集中ケア | 394人 | 2.0% |
| 透析看護 | 257人 | 1.3% |
| 手術看護 | 570人 | 3.0% |
| 乳がん看護 | 331人 | 1.7% |
| 摂食・嚥下障害看護 | 982人 | 5.1% |
| 小児救急看護 | 221人 | 1.1% |
| 認知症看護 | 2,001人 | 10.4% |
| 脳卒中リハビリテーション看護 | 710人 | 3.7% |
| がん放射線療法看護 | 357人 | 1.9% |
| 慢性呼吸器疾患看護 | 236人 | 1.2% |
| 慢性心不全看護 | 479人 | 2.5% |
| 合計 | 19,270人 | 100.0% |
2025年12月現在。構成比は各分野の登録者数÷この表の合計19,270人×100で算出し、小数第1位に四捨五入しています。端数処理により内訳の合計が100.0%にならない場合があります。[6] 日本看護協会の登録者数資料
A課程修了者への認定審査は2029年度で終了予定と案内されています。これは、既存のA課程認定者の資格が一律に2029年度で失効するという意味ではありません。進学希望者は開講状況と審査日程を確認しましょう。[2]
資格の前に「どんな場面で力になりたいか」を考える
患者さんの説明理解を助けたい、退院後の生活を一緒に考えたい、病棟の感染対策を改善したい。資格名から選ぶ前に、日々の看護で気になった場面を振り返ってみます。
天竜病院の看護師インタビューには、患者さんとじっくり関わる看護を求め、急性期から慢性期へ働く場を変えた経験が紹介されています。[3] 資格取得の事例ではありませんが、自分が大切にしたい看護から進路を考える一例です。採用広報に掲載された個人の経験であり、特定の職場や進路を推奨するものではありません。
「今の領域を深める」「別の領域を経験する」「今は基礎を固める」は、どれも考えられる選択です。まだ一つに決められなくても、関心のある先輩の活動を見学するところから始められます。
仕事・家庭・学びを両立するための確認表
| 確認先 | 聞いておきたいこと |
|---|---|
| 教育機関 | 受験条件、授業・実習の日程、通学やオンラインの割合 |
| 看護部・上司 | 勤務調整、休職・出張扱い、学習時間の確保 |
| 人事・教育担当 | 学費補助、給与の扱い、支援を受ける条件 |
| 家族・支援者 | 通学・実習中の家事やケアの分担 |
| 活動中の資格者 | 取得後の実際の業務、相談活動の時間、更新の準備 |
学費だけでなく、交通費、宿泊費、教材費、審査・登録費、学習期間中の生活費まで見積もります。具体額は学校と制度によって異なるので、一律の金額は示しません。奨学金や勤務先支援は、返済や継続勤務の条件も書面で確認してください。
取得した後に、役割を発揮できる環境があるか
資格を取れば必ず専従になれる、給与が上がる、希望の部署へ行けるとは限りません。活動の時間、病棟業務との配分、相談窓口、評価の方法を、進学前から話し合っておくと認識のずれを減らせます。
人員配置や活動時間の問題を、自分の努力だけで解決しようとしなくても大丈夫です。必要な支援を具体的に伝えることも、長く活動する準備になります。
特定行為研修と資格名を混同しない
特定行為研修を修了することと、認定看護師として認定・登録されることは同じではありません。B課程には特定行為研修が組み込まれていますが、研修修了だけで認定看護師を名乗れるわけではありません。[2]
同じように、専門性を高めたいからといって、全員が同じ研修を選ぶ必要もありません。勤務先で期待される役割と、自分が学びたい内容が合っているかを確認しましょう。
今すぐ進学しない選択も、キャリアの途中
家庭の事情や体力、異動直後など、学びを広げにくい時期はあります。資格取得を先送りしても、今の看護に価値がなくなるわけではありません。
気になった事例を記録する、院内研修に一つ参加する、資格を持つ先輩に活動の話を聞く。小さな行動からでも、次に深めたいことは見つかります。資格名を増やすことより、自分が大切にしたい看護を続けられること。 その視点で、学び方と働く環境を一緒に考えてみてください。