- 2026年9月20日
入職時に年金の説明を受けたけれど、研修や書類が多くてよく覚えていない。「DCの運用商品を選んでください」と言われても、NISAと何が違うのか戸惑うこともあると思います。
企業型DCは勤務先が導入する老後資金の制度、NISAは自分で利用する投資の非課税制度です。 どちらが必ず得かではなく、使える制度と、お金を使う時期を確かめるところから始めましょう。制度の確認日は2026年9月10日です。
企業型DCは、勤務先の制度を自分で運用する仕組み
企業型DCは企業型確定拠出年金のことで、事業主が掛金を拠出し、加入者が提示された商品の中から選んで運用する仕組みです。運用の結果などによって、将来受け取る額は変わります。[1]
看護師なら全員が加入するわけではありません。勤務先の法人が導入しているか、自分の雇用区分が対象かを確認します。「厚生年金に加入している」「退職金がある」という情報だけでは、企業型DCの有無は分かりません。
規約によって、加入者が掛金を上乗せするマッチング拠出を利用できる場合もあります。事業主の掛金と、自分の給与から負担するお金を分けて理解しましょう。
企業型DCとNISAの違いを比較
| 比較する点 | 企業型DC | NISA |
|---|---|---|
| 利用の入口 | 勤務先の制度と加入条件による | 原則、その年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者等が口座を開設 |
| 主な目的 | 老後の給付への備え | 自分の目的に応じた投資 |
| 資金 | 原則事業主掛金。規約により加入者の上乗せもある | 自分で用意した資金 |
| 商品の選択 | 制度で提示された商品の中から選ぶ | 金融機関が扱うNISA対象商品から選ぶ |
| 引き出し | 老齢給付は原則60歳以降。加入期間等により遅くなる場合がある | 保有商品を売却できる。現金化には所定の日数が必要 |
| 運用益 | 運用中は非課税で積み立てる仕組み | 対象商品の売却益・配当等が非課税(受取方法等に条件あり) |
| 自分が出すお金の控除 | マッチング拠出の加入者掛金は所得控除の対象 | 投資した金額は所得控除にならない |
| 受け取り時 | 受け取り方に応じた課税と控除がある | 対象利益が非課税。売却代金を引き出すこと自体への課税はない |
出典:[1][2]。障害・死亡などの給付や脱退一時金には別の条件があります。企業型DCの受給条件、手数料、商品は加入先で確認してください。NISAも企業型DCも、制度名だけで元本保証になるものではありません。
同じ投資信託でも「使う時期」が違う
転居や研修などで数年以内に使う予定のお金を、老後まで原則引き出せないDCへ回すと困る場合があります。一方、NISAは売却できますが、必要なときに値下がりしている可能性があります。近く使う生活資金を確実に確保する役割は、まず預貯金で考えましょう。
夜勤を減らす、育児で勤務時間を変える、別の領域へ転職する。こうした予定があるなら、制度の節税効果だけでなく、変更後に使える現金がどの程度残るかを先に確認します。公開された看護師への取材にも、収入だけでなく休息や生活時間を大切にして働き方を選ぶ声があります。[3] 個人の経験であり、全員に同じ選択を勧めるものではありません。
「選択制DC」は、マッチング拠出と分けて確認する
給与等として受け取るか、事業主掛金として拠出するかを選ぶ仕組みが、いわゆる選択制DCです。これを「会社が全額追加でくれるお金」と思い込まないようにしましょう。
選択によって社会保険・雇用保険等の給付額にも影響する可能性があり、厚生労働省は事業主による正確な説明が必要としています。[4] 手取りや保険料の変化だけでなく、給付への影響も含めた説明資料を人事担当者に求めてください。単純な節税額だけで決めないことが大切です。
2026年の変更は、日付を分けて読む
2026年4月1日には、マッチング拠出で加入者掛金が事業主掛金を超えてはならないという制限が撤廃されました。ただし、法令上の拠出限度額や勤務先の規約による条件は残ります。[5]
また、厚生労働省の資料では2026年12月の拠出限度額の見直しが案内されています。[6] 9月時点の設定に、12月の数字を先取りして当てはめないでください。 自分の上限は、他の企業年金の有無や掛金、制度の適用時期によって異なるため、勤務先の最新案内で確認します。
転職・退職では、DCの資産を放置しない
企業型DCの加入資格を失った場合、原則として資格喪失後6か月以内に、移換先の制度などに応じた手続きが必要です。手続きをしないと、自動移換となり、運用できず手数料がかかる場合があります。[7]
引っ越しや新しい職場の準備と重なると、通知を後回しにしがちです。退職前に、現在の運営管理機関、連絡先、資格喪失日、移換先候補をメモしておきましょう。「次の職場が自動で全部してくれる」とは考えず、両方の担当窓口へ確認します。
NISAと併用する前に、人事へ聞きたい5つのこと
- この勤務先に企業型DCはあり、自分は加入対象か
- 事業主掛金はいくらで、給与との関係はどうなっているか
- マッチング拠出・選択制DCのどちらがあり、条件は何か
- 現在の商品配分、費用、変更方法はどこで確認できるか
- 休職・育休・転職時の掛金や手続きはどうなるか
企業型DCとNISAは併用できますが、家計から出す金額は合計して考えます。なお、iDeCoはNISAとは別の制度で、マッチング拠出との同時利用には制約があります。[7] 名前が似た制度を一括りにしないようにしましょう。
最初にすることは、掛金を増やすことではなく資料を開くこと
制度を知るために、すぐ大きな金額を決める必要はありません。加入しているか、何の商品で運用しているか、問い合わせ先はどこか。この3点が分かるだけでも前進です。
老後の備えと、今の暮らしを守る現金を両立する。 忙しい勤務の中でも確認できるよう、質問をメモして一つずつ解決していきましょう。