- 2026年9月11日
初めての給与が入ると、生活用品や医学書をそろえたい気持ちと、奨学金の返済や将来への不安が同時に出てくることがあります。周囲がNISAを始めたと聞き、自分も急いだほうがよいのか迷う人もいるでしょう。
研修医の家計は、初任給の手取りを確認し、毎月の支払いと近い将来の出費を確保してから、貯蓄・投資の配分を決める順番が基本です。 研修先や住居の条件によって使えるお金は違うため、同期の積立額をそのまま目標にする必要はありません。
この記事は主に初期臨床研修中の医師を対象にしています。専攻医の給与や外勤については、[大学病院・市中病院・クリニックの年収とバイトの記事](https://money-growth.net/ace-physician-workplaces-income-part-time/)で分けて紹介しています。
初任給では「振込額」と「毎月続く額」を確認する
募集要項の月額給与と、銀行口座への振込額は同じとは限りません。基本給・手当・控除を確認し、初月だけの日割りや支給時期の違いがないか、給与担当に確認します。
通勤費がまとめて振り込まれていれば、いずれ使う交通費として取り分けます。当直や時間外勤務に関する手当も、実績と支給月がずれる場合があります。最初の1回の振込だけで家計を固定せず、数か月の明細を見比べると、通常月の生活設計がしやすくなります。
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| 見る場所 | 確認したい内容 | 家計への反映 |
|---|---|---|
| 基本給・固定手当 | 通常月に支給される額 | 生活費の基準にする |
| 当直・時間外等の手当 | 対象期間、支給条件、支給月 | 毎月同額と決めつけない |
| 税・社会保険料等の控除 | 何が差し引かれているか | 手取りで予算を組む |
| 住居関連の扱い | 寮費、住宅手当、給与控除 | 家賃の二重計上を避ける |
| 通勤費等 | 支給周期と実際の支払い | 生活費と分けて管理する |
ここでは研修医の全国平均初任給を置かず、自分の募集要項・労働条件通知書・明細から家計を作ります。額面と手取りの考え方は、[給与明細の読み方の記事](https://money-growth.net/ace-physician-income-age-specialty-payslip/)も参考になります。
就職直後は、引っ越しと研修関連費を先に見積もる
給与が入り始めても、転居費や家電の購入が重なると、数か月は通常より支出が多くなります。クレジットカードで払った分も、利用月ではなく後日の引落しとして残っています。
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| 時期 | 想定する支出 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 入職前後 | 引っ越し、敷金等、家具・家電 | 寮や補助、立替払いの精算時期 |
| 研修開始後 | 医学書、診療に使う物品、通勤 | 病院で提供・貸与されるもの |
| 年度中 | 学会、講習、交通・宿泊 | 参加の必要性と費用補助 |
| 研修修了前後 | 次の勤務先への転居、各種手続き | 異動の時期と自己負担額 |
必要な物を一度に購入する前に、貸与品や電子図書館、補助制度の利用可否を確認します。専門分野が決まってから買う物と、すぐ必要な物を分けるだけでも、支出を平準化できます。
年に数回の費用は月割りで積み立てます。仮に1年間で24万円を見込むなら月2万円です。この金額は予備資金や投資とは別枠にし、「貯金が増えた」と思って使わないようにします。
奨学金は、返還開始月と毎月の額を確認する
JASSOの貸与奨学金は、3月終了なら原則10月から
JASSOの貸与奨学金の返還は、貸与終了の翌月から数えて7か月目に始まります。3月に貸与が終了した場合は、原則として10月からです。在学猶予等が適用される場合は扱いが異なります。[1]
返還がまだ始まっていない春の手取りを、すべて生活費に使うと、秋から家計が窮屈になることがあります。返還額が分かったら、開始前から同額を預金へ移し、返還後の生活費で暮らせるか確かめてみましょう。
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| 奨学金の確認項目 | 手元に残す情報 |
|---|---|
| 貸与元・種類 | JASSO第一種・第二種、自治体等を区別 |
| 返還方法 | 定額・所得連動、月賦・併用等 |
| 支払予定 | 開始年月、月額、引落口座 |
| 返済条件 | 残高、利率、返還完了予定 |
| 修学資金等の条件 | 勤務先・勤務期間等と、条件を満たさない場合の扱い |
自治体や大学等の修学資金は、契約先の規程を確認します。研修先や進路を選ぶときに、返還免除の条件も確認しておくと、後から大きな支払いが判明する事態を避けやすくなります。
返還が難しいときは、延滞前に相談する
JASSOには、一定の条件のもとで月々の返還額を少なくする減額返還や、返還期限猶予があります。願い出と審査が必要で、自動で適用されるわけではありません。返還方式による違いもあるため、該当する制度を確認します。[2]
返済を早く終わらせたい場合も、全預金を繰上返還に回す前に、生活費と転居費が残るかを確認します。JASSOの繰上返還の手続きや利子の扱いは公式案内で確認できます。[3]
2年目の住民税まで含めて、予算を組む
住民税は原則として前年の所得に対して課税されます。給与からの特別徴収は、通常6月から翌年5月に分けて行われます。そのため、前年の課税所得が少なかった新社会人は、就職した翌年6月から負担が増える場合があります。[4]
たとえば2026年4月に研修を開始した人なら、2026年の所得が2027年度の住民税に反映されます。学生時代の収入等によって初年度から課税される場合もあり、「1年目は必ずゼロ」とは限りません。
正確な額は通知書等で確認し、通知前の試算はあくまで概算として扱います。初年度に毎月の支出を上限まで増やさず、翌年の税負担や奨学金返還が始まった後も続けられるかを見ておきましょう。
手取り30万円なら?貯蓄と投資を分ける家計例
以下は、返還開始後の手取りを月30万円と仮定した例です。税・社会保険料が差し引かれた後の金額であり、全国平均や特定の研修病院の給与ではありません。
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| 項目 | 月額 | 考え方 |
|---|---|---|
| 住居費 | 7万円 | 寮や住宅補助等を反映 |
| 食費・日用品 | 5万円 | 無理に削りすぎない |
| 光熱・通信・交通 | 3万円 | 給与控除との重複に注意 |
| 奨学金返還 | 3万円 | 自分の返還予定に置き換える |
| 交際・趣味・その他 | 3万円 | 続けられる生活を保つ |
| 年間支出・転居用積立 | 3万円 | 月々使わない予定資金 |
| 予備資金の積立 | 5万円 | 急な支出・収入減に備える |
| 長期投資 | 1万円 | 余裕がある場合の選択肢 |
| 合計 | 30万円 | 配分の一例 |
預金がほとんどなければ、投資の1万円も当面は予備資金へ回して構いません。住居費や返還額が大きければ、配分そのものを変えます。投資をゼロにする時期があっても、生活費や借入れを整理できていれば、お金の準備は進んでいます。
研修病院での学習・休息を続けられる予算も大切です。食事や睡眠に関わる支出まで削って投資額を増やす計画は、見直す余地があります。
投資は「生活の見通しが立ってから、少額で」
金融庁は家計管理で収支を把握し、黒字分を貯蓄することを基本としています。[5] まずは数か月の支出を把握し、奨学金、年単位の支払い、翌年の税負担を入れても残る額を確認しましょう。
NISAは少額投資にも使える制度ですが、購入商品には値下がりの可能性があります。口座を開いても、年間投資枠を使い切る必要はありません。[6] 近いうちに必要な転居費を使わず、減額や停止が必要になったときの手続きも確認してから始めます。
一方、iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、将来の進学・転居に使うお金と混ぜないことが重要です。[7] 研修修了後の進路がまだ定まっていない時期は、手元資金を厚くする選択にも意味があります。
初期研修中の家計に、診療バイトの収入を入れない
厚生労働省は、初期臨床研修の期間中に診療のアルバイトをすることはできないと説明しています。[8] 専攻医や経験を積んだ医師の外勤収入を見て、研修中の赤字を同じ方法で埋める計画は立てられません。
毎月不足する場合は、住居費や固定費、奨学金の相談制度、勤務先の補助を先に確認します。将来増えるかもしれない収入を当てにして、支出を先に増やさないことが大切です。
最初の1年で整えたいこと
- 明細を見て、通常月の手取りと変動する手当を把握する
- 返還開始月と翌年の住民税を支出予定に入れる
- 転居・学会等のお金を月割りで準備する
- 毎月の貯蓄先と引落口座の残高を確認する
- 生活と予備資金を確保してから投資額を決める
研修医の時期は、家計の仕組みを作るだけでも将来に役立ちます。初任給の金額より、自分が毎月いくらで暮らし、どの支払いがこれから始まるかを把握することから取り組んでみてください。