医師のNISA入門|忙しくても続けやすい資産形成の始め方。白衣とエンジ色のスクラブを着た医師のイラスト。

医師のNISA入門|忙しくても続けやすい資産形成の始め方

「NISAを始めたいけれど、銘柄を調べる時間がない」「外勤収入がある月は、どこまで投資に回してよいのだろう」。勤務医の資産形成では、制度の知識に加えて、忙しい時期でも無理なく管理できる仕組みが必要です。

NISAは、対象商品の運用益等を非課税にする制度です。元本を保証する仕組みではなく、医師だから特別に有利な条件になる制度でもありません。 生活費や納税用のお金を分けたうえで、当面使わない資金について利用を考えます。[1][2]

この記事は2026年に成人が利用するNISAを対象に、制度の基本、積立額の決め方、商品選びと管理のポイントを整理します。

NISAで非課税になるのは「投資したお金」ではなく利益

NISA口座で購入した対象商品の売却益や配当・分配金等は、所定の条件で非課税になります。給与から投資した金額を差し引いて所得税を計算する仕組みではありません。[1]

たとえば、NISAで100万円分購入し、120万円で売却した場合、非課税になる売却益は20万円です。一方、80万円で売れば20万円の損失が生じます。非課税制度であっても値下がりは起こります。

また、NISA口座の損失は、課税口座の利益等との損益通算や繰越控除ができません。上場株式の配当を非課税で受け取るには、証券会社を通じて受け取る株式数比例配分方式を選ぶなど、受取方法にも条件があります。[1]

「税金がかからない」と「損をしない」を分けて理解することが、商品を選ぶ前の出発点です。

つみたて投資枠と成長投資枠の違い

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項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円240万円
主な対象長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託等上場株式・投資信託等。一部の商品を除く
非課税で保有できる期間無期限無期限
2つの枠の併用可能可能

両方を合わせた年間投資枠は360万円、非課税保有限度額は購入額ベースで1,800万円です。そのうち成長投資枠で保有できる上限は1,200万円です。1,800万円と1,200万円を足して3,000万円になるわけではありません。[2]

つみたて投資枠だけで総枠1,800万円を使うこともできます。成長投資枠という名前でも、高い収益が保証されているわけではありません。両方の枠を使うかどうかは、商品と家計の計画で決めます。[3]

成人のNISA口座は、日本国内に住む、その年の1月1日時点で18歳以上の人が対象です。1人1口座が基本で、金融機関の変更は年単位で可能です。[2] 複数の病院から給与を得ていても、勤務先ごとに口座や枠が増えることはありません。

積立額は、外勤の振込額からそのまま決めない

外勤の報酬が入った月でも、税金の精算、交通費、翌年の支出に備える分を除く必要があります。毎月の積立額を固定するときは、外勤が少ない月でも続けられるかを確認します。

ここで使うのは「自由に使えるお金」ではなく、「生活や予定支出に使わず、価格が下がっても当面保有できるお金」という基準です。

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仮定する毎月の余剰預金・予定支出へ回す額NISA積立の例年間の買付額
3万円2万円1万円12万円
8万円5万円3万円36万円
15万円10万円5万円60万円

余剰とは、生活費・返済・税金等をすでに差し引いた後の額を想定しています。上表は配分例で、推奨額や医師の平均ではありません。予備資金が足りない場合は、余剰をすべて預金へ回す時期があっても構いません。

NISAの年間投資枠は上限です。「月10万円を積み立てないと損」という制度ではありません。進学や育児で収入が変わったら、金額の減額や買付けの停止も家計管理の一部です。

商品は「何に投資するか」「費用」「値動き」で比べる

忙しいと、ランキング上位の商品や、同僚が持っている商品をそのまま選びたくなります。しかし、同じ投資信託でも、投資対象や価格の変わり方は違います。

投資先の重なりを確認する

分散投資は、値動きの異なる資産等に資金を分ける考え方です。複数の商品を持っていても、同じ国や同じ企業への投資が多ければ、実際の分散は限られます。[4]

医療分野に詳しいことと、医療関連企業の株価を予測できることも別です。身近な業界に集中しすぎないか、企業型DCやほかの口座を含めた全体で確認します。

交付目論見書と運用報告書を読む

比較する際は、販売ページの過去のリターンだけでなく、交付目論見書等で投資対象、リスク、費用、換金の条件を確認します。[5] 継続費用を確認する際は、信託報酬に加えて、交付運用報告書等の総経費率も参考になります。[7]

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比較項目確認すること
投資対象国内・海外、株式・債券等の内訳
リスク価格変動、為替変動、信用リスク等
継続的な費用信託報酬、その他の費用・総経費率等
購入・売却の条件手数料、信託財産留保額、受渡しまでの日数等
運用方針連動する指数や、資産配分の決め方

費用だけでなく、同じような投資対象・方針の商品同士で比べます。低コストでも、自分が許容できない値動きの商品なら、積立額や資産配分の見直しが必要です。

「下がったらどうするか」を買う前に決めておく

積立投資でも、保有資産全体が値下がりする時期はあります。長期・積立・分散はリスクとの付き合い方であり、必ず利益を得られる約束ではありません。[4]

例として、評価額が300万円の資産が30%下がると210万円になり、90万円の評価減です。これは下落幅を想像するための計算例で、将来の予測でも最大損失の想定でもありません。

この状態で学費や転居費が必要になれば、値下がりしたまま売ることになるかもしれません。使う予定のある資金を先に分けておくことには、売却を急がずに済むという意味があります。

値下がり時の対応は、資金の目的と保有商品の内容から判断します。「下がれば必ず買い増す」「絶対に売らない」と決めつけず、家計の変化や投資対象の理解も含めて見直します。借入れをして積立額を維持する計画は避けましょう。

売却すると枠はどうなる?翌年以降に戻るのは購入額

NISAの商品を売却すると、翌年以降、売却した商品の取得価額の分だけ非課税保有限度額を再利用できます。その年の年間投資枠が売却直後に復活するわけではありません。[3]

たとえば100万円で購入した商品を130万円で売却しても、翌年以降に再利用できる総枠は100万円分です。70万円で売却した場合も100万円分です。損失そのものが補填される意味ではありません。

再利用できる総枠があっても、新たな買付けには年間投資枠が適用されます。制度上売却できることと、現金がすぐ銀行口座に入ることも別です。売却から受渡し・出金までの日数は商品や金融機関によるため、期限のある支払いには余裕を持って準備します。

忙しい医師が管理を続けるための3つの設定

1.買付日と引落口座を、家計に合わせる

給与日、家賃やカードの引落日を見て、資金不足になりにくい日程を選びます。自動積立を設定した後も、初回の買付けができているか、NISAの意図した枠で購入しているかを確認します。

2.家計を見直す日を決める

たとえば半年に一度、残高、積立額、翌年の支出予定をまとめて確認する方法があります。転職、留学、育児などの変化があったときは、その都度見直します。毎日の値動きの確認に時間を使いすぎない仕組みを考えましょう。

3.口座の安全設定と通知を有効にする

金融庁は、証券会社を装ったサイト等による不正アクセスへの対策を案内しています。公式サイトのブックマークや正規のアプリを使い、提供されているパスキー等の多要素認証や通知を設定します。[6]

積立を自動にしても、不審なログインや取引の通知まで放置しないことが大切です。連絡先が変わった際は登録を更新し、勤務先のメールだけに重要な通知を依存させないようにします。

NISAを始める前の確認ポイント

  • 生活費・税金・返済・近い将来の支出を分けたか
  • 外勤が少ない月でも無理のない積立額か
  • 商品の投資対象・費用・下落リスクを説明できるか
  • 値下がり時に、生活費のために売らずに済むか
  • 買付けと口座の安全設定を確認したか

NISAを使うかどうか、いくら積み立てるかは、将来の収入の予想だけで決める必要はありません。今の家計で余裕を持って続けられる額を見つけ、進路や暮らしが変わったら調整していきましょう。

制度の基本から読み直したい場合は、看護師向けですが共通の仕組みを扱う[既存のNISA解説](https://money-growth.net/ace-0f652b322867eabdb7f6f3a52c5a29f845683176e997ea18e5a6f7eba52f2c21/)も利用できます。

出典

この記事は私が書いたよ!

たっち | 医療者・会社員

たっち | 医療者・会社員

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